「理系」について思うこと
少し前に理系の女子学生に関する議論のツイートを見た。
どうやら誰かが理系の女子学生を増やそうとしているらしい。
そこまで深追いはしていないので事の発端は知らない。
けれど、理系に進んだ女の一人として思うことがあって書いてみることにした。
何もためになることなどない。
ただの独り言。自分語りしたいだけ。
まず、私は「リケジョ」という言葉が嫌いだ。
「〇〇女」や「女〇〇」という呼び方が嫌い。
それは暗に「女が女らしくないことしてるぞ」と言われていると思うから。
もの珍しい、だからわざわざそういう呼び方をする。
人数が少ないのだから珍しいのは確かなのだけれど、そこに差別的な視線を感じるから嫌なのだ。
私が理系に進んだのはやりたいこともがなにもなく、将来の選択肢の幅を広げておきたかったからだ。
理数系の科目が得意だったわけではない。
数学なんかは苦手だと思っていた。
文系→理系より理系→文系の方が転向しやすい、
そう言われていたので理系に進んだ。
(だから自分では自分のことを似非理系と言っている)
結局、大学受験のタイミングまでにやりたいことなど見つけられず、就職の幅が広そうな機械系の学部に進んだ。
私の学部には180人の生徒がいたが、その中で女子生徒は私を含めて5人しかいなかった。
同じ理系でも農学部は男女比が半々くらいだ。
機械系は理系の中でも特に女子比率が低い。
おまけに5人中4人が推薦入試での入学だった。
私も推薦入試だ。学力だけでは到底受かるはずのない大学だった。
他の子も同じことを言っていて、きっと女子バイアスがかかって受かったんだよ、私達、なんてよく自虐していたが、実際に大学側が女子学生を増やしたくて、そういう選別の仕方をしていたのかもしれない。
就職もせっかく機械系の学部だったんだからとメーカーに就職した。
70人くらいの人がいる部署だったが、女は私1人だった。
実際にはあと2人女性社員がいたのたが、1人は体調不良で休職中、1人は育休中だった。
残業が当たり前、通常時でも30時間、繁忙期には100時間近く残業する部署だった。
休職中の女性も育休中の女性も、結局この部署には復帰しなかった。
私は夫が香港に異動になるタイミングでこの会社を辞めてしまった。
5年しか勤めていない。
私の後輩の女性社員もいたが、結婚を機に、旦那さんの職場が離れていたので、辞めてしまった。
夫が香港に異動していなかったら私は仕事を続けていただろうか。
否。いずれは辞めていただろうと思う。
大したビジョンもなく理系に進んで就職した私には、あの激務は耐えられなかった。
そういえば、夫の異動が決まったとき、私が仕事を続けて夫は仕事を辞めてもいいと言ってくれたが、ずっと働く自信がなくて、私が辞めることにしたのだった。
結局、理系の女子学生を増やしたところで、その先の社会が変わらないと意味がない。
男性も女性も働きやすい、体を壊さず働ける職場が必要なのだ。
理系の職場にはそれが少ないと思う。
闇雲に女子学生を増やせるだけ増やして、その先がないなんてやめて欲しい。
私のキャリアはなんだったんだろう…って考えると時間は不毛である。
頑張ってきた過去が報われる社会になってほしい。
男性も女性も男ならこう、女ならこう、と周りに干渉されることなく自分の意思で進路を決められる世の中になって欲しい。